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生まれたトコロへ


海外渡航

何もしないで
歩いていただけの
3泊した香港が
いままでで最高なところだ
といつも言っていた

理由なんて
説明できなくて、
空虚な滞在での
印象を語ると、
香港がステキである
という論証は
それ以上無用の長物で
即座に同じ思いを
共有するか
ただそれで次の話題に
進むかだった



北京より
モンゴルへ向かって
中国を通り過ぎたとき
人々とうごめきの中
静かな強い高揚感を覚えた

2年後
新疆ウイグル自治区ウルムチに
一時の居を構え
夏には
中国を囲む南アジアを
渡り歩いた

そんなこんなの
学生一時分の8ヶ月の後の
香港返還の年の正月
留学期間を終えた僕は
西安行きの列車に乗り
ウルムチを後にした


北京に2回
行ったことがあった
それだけで
新疆以外は
行ったことがなかった

中華のその首都では
座り込んだのは
天安門広場だけで
観光地に行かなかった

それでも
西安を最後に中華を離れ
一気に南下して
この国と
お別れすることにした

後悔の代わりに
一般哲学的に未知
と定義される場所-国
を見てみるために



数ヶ月間の出来事だった

自然、偉大という遺跡を見た
街、自然に漂う音楽を聴き
人に出会った

旅人と
路上カフェの椅子に座り
二人で我々の見知らぬ世界、生活を思った

少し燃えた
疲れた心で
肌にまつわる蒸した空気の中
人力車に座り
徐々に流れ行く光景を
眺めた

熱で寝込み
ホテルの一人部屋の
ベッドの上で
誕生日を迎えた

人を疑うことは
命令ではなく
自主の判断による
ノルマであった

すぐにどこかに帰りたかった
義務を全うして

いろいろなところで
華僑に出会った
彼らとのふれあいは
僕の心を暖めてくれた



サイゴン発ハノイ行きの
寝台列車のコンパートメントで
職を離れ
長期旅行する日本人と
過去将来を語った

僕は自身のある時代が
終焉を迎えていることを
感じていた

ハノイ発の飛行機で
香港へ向かうなか
空気が徐々に
そして一気に
変わっていったのが分かった

香港の空港到着で
空気交換は完了した
成田ではなく

すす汚れた自慢のパンツを
履いた人間は
少しばかり目立つようだった
日本人たちは税関を素通りし
僕はバックパックを開けた


そんな歓迎は空港までで
そこで帰郷のささやかな
お祝いは幕を閉じた


ちょっとばかり幸せな僕は
心を弾ませ
コンビニエンスストアに入った
毎回窮屈な暗い部屋でパン
マクドナルドでハンバーガーを
食べた

何もしなかった

正確に言うのであれば
昼、夜、僕は歩いた

高層ビルと
朽ち果てかけた建物の
混沌する街で
テレビに浮かび上がるステキさとオシャレで正装した人々の明るい笑顔
世界各地からの居住者、
旅行者
乞食
のすきまをすり抜けていった



キルギスタンへ

キルギスタンに住んでいた僕は
弟の挙式参列のため
日本に一時帰国していた

どうやって帰ろうか?

中華の有名都市を
訪問してみたかった

その大地を通過し
何かを感じた経験はある

それでも
そこに行くという目的で
降り立つのは
初めてのことであった

滞在中のキルギスタンに
戻ることが
最終目的ではあったが


この都市を選んだ

上海

中華の最大都市を


上海は
キルギスタンに近い
僕の第二の故郷
ウルムチ行きの
直通列車の出発駅であった

香港に行く理由はなかった

家で寝ることが
最大の喜びであって
旅行はむしろ苦痛であり
何もしたくない人間であることは
承知していた

上海行の航空券を買って
上海ですぐにウルムチ行きの
列車に乗り込む予定であった


香港では
昼、夜、歩き続けた

旅行者になろうと
少し頑張ってみた
船に乗りマカオに行った
街中で以前僕が眺めた人々のように
店中や屋台で
食らいついた

楽しんでいることは
感じていなかった

ただ僕は
この街が嫌いでないと
感じていた


上海。

そして失望

僕は曇りガラスから
香港を探していた

上海の古い建物に
僕の心は少し動かされ
横道に迷い込んでみた

ただ、
学生時代に
僕を引きずり込んだ
この国の大地にいるとは
思えなかった

ベンチに座り
ポン引きと話して
時間を潰した

ウルムチ行きの乗車券を
買う必要がある

そして
僕の出発前に思い描いた
計画的中国滞在は
終わりになる

中国では何も見ずに
そしてこの国の人々とうごめきは
何一つ分からずに
僕の人生は
終わるんだと思った


乗車券販売所で
翌日、瀋陽行きの列車が
あるかどうか尋ねた

瀋陽から北京に行けば
ウルムチ行きの列車がある

何か僕が
ここに留まる理由が
必要だった

誰かと話がしたかった
ガラスを叩いて
壊して欲しかった

インターネットで
知り合った
瀋陽の女の子に
メールを送った

翌日
北に向かう列車に乗車した

日本からキルギスタンへの路上にて:上海の夜 (外灘)
観 光 客 群 る その
お も ち ゃ の フ ル ー ト が い て い た
子 供 へ の ま や か し ほ ど の 価 値 に は な る の か も し れ な い

あ る か し た で て い た
は、そ の ら ず の う ち に って い た

が そ れ を む の か
か そ れ を 必要 と す る の か ?

が、 、 こ の
こ の 未 来 でも く の で あ ろ う か?