来仙紀行

(仙台市在住人命名)

2003年5月26日 三陸南地震
 - 仙台への体験報告


地震は単なる旅行者の僕にとっては面白い体験でした。 (どうもすいません。。。)

陸羽東線の新庄行に乗車中に遭遇しました。

車両がひっくり返るんじゃ、、、と思うぐらいに揺れたんですが、 外を見ると飼い主であろうオバちゃんの指示を完全に無視して犬が無邪気にはしゃいでたので、 震度は大したことなかったんだと思います。

始めは地震だと分からなくて、

「真っ直ぐ進んでいるのに何でこんな揺れるの?砂利の積み方が甘いんじゃねえの」

と思っていました。

駅に到着しても列車は振り子のごとく揺れつづけていて、 外を見ると地面に突き刺さっている鉄の棒がグングンと勢いよく暴れていたので 電車のトラブルではないことだけは分かりました。

地震かな?

と、一瞬考えましたが、今まで体験したことのない感覚だったため、見当がつかず

「これはおそろしく激しい強風なのか?でもオバちゃん(立小路駅前に住んでいる)の 歩きっぷりを見るに、風の抵抗をまるで受けていないように思えるが。。。」

と頭を悩ませていると車内放送が流れました。


乗客が僕を含め2人だけだったせいか、
何を聞いてもそっけなくわからんという旨を伝えるだけの運転手が おばあちゃんのぽたぽた焼きと山形名産(?)桃ジュースを淡々と配ったり、
もう一人の乗客であったスーツを着たニコニコと人のよさそうな 新入社員風の兄ちゃんからはどっかの土産の薄皮まんじゅうもらったり、
カンカンと鳴りつづける踏み切りの遮断機はハシゴを支えにこじ開けられていたり、
車はちょっとの思考の間を置いて、躊躇しながらそろそろとその下を潜り抜けていったり、
貰ったセンベイをポリポリ食べたり、
どのような体勢で寝るのが一番楽なのかいろいろ試してみたり、
乗務員もヒマそうにしてたり、
この先どうなるのか全く分からなかったり、
ドキドキイライラワクワクの時間を過ごしました。



「どうせならここで朝まで止まっていてくれ、列車で寝るから」

と思いはじめた11時半ごろ、電車は動き出しました。

12時過ぎに新庄に到着すると、車内で山形まで行くと言っていたため、 乗務員しかいるようには見えない、おそらくは僕一人のための山形行きが 出発を今かと待ち構えていました。

数人の駅員に取り囲まれ山形行きに連れ込まれそうになりましたが、 山形がどんなところか知っているならともかく、何の当てもない状況で 真夜中に着くのも不安だったので、

「ここに泊まるつもりなんですが、山形で泊まるところも確保していないんで」

と伝えると、

「ここでもあるかな?もうこんな時間なんで。。。」

と困ったような口ぶりしながらも一人は山形行き列車の出発を止めに走り、 一人はホテルを探しに駅員室に飛び込んでいきました。

しばらくして、責任感に満ち溢れた駅長さんらしき人の命令を受けた中年の 小柄で少々気の弱そうな駅員さんに連れられ、その駅員に渡された新庄の地図を片手に持ったされた僕は、 駅に程近いホテルにたどり着きました。

そんな訳で何の苦労もせずに新庄での寝床を見つけることができました。

おしまい


三陸南地震 (M7.1)

負傷者 174名
住家全半壊 23戸(以上、国土交通省調べ)
避難した人 1.7%(気仙沼市、水産庁資料)
心身に苦痛を感じた者 不明
泣いた者 不明
笑った者 不明(以上、未調査)
無情者 1人以上(2006年12月4日調査)

仙台観光 :歓迎の笛演奏(仙台~新庄~米沢旅行)