var imgList = new Array();
var winThumb;
var vartextdata;
var currentindex = 1;
var secImglist = new Array();

function initStory(){

  imgList[0] = new imgData( "imgList[0]", "../images/nippon/tokyo/tokyo1_01.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_01.jpg", "西小山 にこま通り", "n_tokyo_pic.html" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_02.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_02.jpg", "西小山 ニコニコ通り" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_03.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_03.jpg", "西小山 ニコニコ通り" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_04.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_04.jpg", "西小山 原町" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_05.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_05.jpg", "西小山 原町" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_06.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_06.jpg", "洗足" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_07.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_07.jpg", "洗足 目黒区立第九中学校" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_08.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_08.jpg", "洗足 目黒区立第九中学校" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_09.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_09.jpg", "在洗足 ホワイトハウス" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_10.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_10.jpg", "洗足" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_11.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_11.jpg", "洗足" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_12.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_12.jpg", "洗足 厳島神社" );
  imgList[0].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo1_13.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo1_13.jpg", "洗足 厳島神社" );

  imgList[1] = new imgData( "imgList[1]", "../images/nippon/tokyo/tokyo2_01.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_01.jpg", "武蔵小山", "n_tokyo_pic.html" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_02.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_02.jpg", "武蔵小山商店街パルム" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_03.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_03.jpg", "荏原" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_04.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_04.jpg", "戸越銀座　戸越銀座通り　戸越銀座商店街" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_05.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_05.jpg", "戸越銀座　戸越銀座通り　戸越銀座商店街" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_06.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_06.jpg", "北千束" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_07.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_07.jpg", "北千束　区立赤松小学校" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_08.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_08.jpg", "北千束" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_09.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_09.jpg", "北千束" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_10.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_10.jpg", "南千束　洗足池公園　弁財天" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_11.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_11.jpg", "南千束　洗足池公園" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_12.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_12.jpg", "北千束" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_13.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_13.jpg", "下神明" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_14.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_14.jpg", "下神明" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_15.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_15.jpg", "下神明" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_16.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_16.jpg", "戸越公園" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_17.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_17.jpg", "戸越公園" );
  imgList[1].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo2_18.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo2_18.jpg", "戸越公園駅" );
  
  
  imgList[2] = new imgData( "imgList[2]", "../images/nippon/tokyo/tokyo3_01.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_01.jpg", "日暮里　ホテルラングウッド", "n_tokyo_pic.html" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_02.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_02.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_03.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_03.jpg", "谷中　本行寺" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_04.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_04.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_05.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_05.jpg", "谷中銀座入口" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_06.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_06.jpg", "谷中銀座入口" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_07.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_07.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_08.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_08.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_09.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_09.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_10.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_10.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_11.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_11.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_12.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_12.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_13.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_13.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_14.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_14.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_15.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_15.jpg", "谷中" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_16.jpg", 480, 640, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_16.jpg", "谷中霊園" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_17.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_17.jpg", "谷中霊園" );
  imgList[2].addImg( "../images/nippon/tokyo/tokyo3_18.jpg", 640, 480, "../images/nippon/tokyo/stokyo3_18.jpg", "谷中霊園" );
  
  
  vartextdata = new displayText( "imgexp1" );
  vartextdata.addData( "明日 ～ 2009.05.03", 
                       "目を覚まし、床から抜け起きると、携帯電話の右上に表示される数値は１２時と表示されていた。\n" +
                       "これで、この日が、そして、このままゴールデンウィークと呼ばれる連休が終わっていいのだろうか？\n\n" +
                     　"離れて以来一度も訪れたことのない、昔、住んでいたことのある地区に向かってみることにした。\n\n\n" +
                       "もう十年以上前になるが、目蒲線の西小山駅と洗足駅のちょうど中間に位置するアパートに居を構えていた時期がある。\n" +
                       "商店街から少し離れていたそのアパートは、明るく鮮やかな野菜の並ぶ駅前の商店からは、だいぶ離れており、また、コンビニエンスストアでさえも、ほんの少しだけの覚悟を決めて出向く必要のある場所ではあった。\n" +
                       "しかし、その近隣には、夜には裸電球に照らされた果物が鈍くぽつりと浮かび上がっている果物屋、また、まったく人の出入りのなく、どのように生計を営んでいるかいささかの想像もできないが、その横を通るときには足を止め、外に詰まれた品を詮索し、そのついでに中に陳列されている品を窓ガラス越しに覗き込んでみようかという古物商があり、とりあえずは、よしとしよう、と納得できる場所であった。\n\n\n" +
                       "学校を卒業し、両親のもとに住んでいた私は、ある日、部屋を探しに、仕事のあと、普段通らない目蒲線で帰路に着くことにした。\n\n" +
                       "大井町線から大岡山で目蒲線に乗り換え、目黒に向かい西小山に近づくと、家やアパートなどの建造物は目にするものの、路上を行き交う人もまばらで静かな住宅地に住んでいたせいであろうか、派手ではないが、少しばかり艶やかにも写る店店の明光に心の高揚をおぼえ、まずはためしに、と列車を離れることとした。\n\n" +
                       "階段を降り、改札をでると、すでに暗くなった街頭で、車の通る幅もない道の両端に群がる八百屋、果物屋からの声が響きわたり、そして、サラリーマン・主婦・若者が、その道の双方からの薄い光明・気勢の間を行き交っていた。\n\n" +
                       "ここを自分の住む場所と決めて、部屋を探すことにした。\n\n" +
                       "住所は洗足であり、駅までかかる時間は、西小山、洗足、どちらの駅でも同じであった。通勤では会社に近い目黒と反対側に位置する洗足駅を利用し、夜は少しでも早い時間に自宅に着くように洗足駅で下車し、その駅に隣接する東急ストアで食物を購入することが多かったが、人には西小山に住んでいると告げていた。その証としてか、純粋に好きであったためかは今となっては定かではないが、なるべくは西小山まで足を伸ばして帰宅することにしていた。\n\n\n" +
                       "そして、今日、西小山駅のプラットフォームに降り立った。\n\n" +
                       "今度は、エスカレータを昇り、以前は階段を下りて切符を置いたか、定期券を見せた場所よりも目黒寄りに位置すると思われる改札より外にでた。\n\n" +
                       "街が変わりはてたのか、自分が変わりはてたのであろうか？\n\n" +
                       "たしかに、目に映る風景には、大きな変化があった。\n\n" +
                    　 "駅改札の周縁には工事現場が広がっていた。\n" +
                       "しかし、もともと存在していたであろうと記憶に残るコンビニエンスストアが、そして八百屋が、場所は以前と変わらずに位置しているに違いないと記憶をたどった。\n" +
                       "同じ場所に降り立った自分。\n" +
                       "自分が立ち寄ったことのある店などを思い出そうと、確認しながらその道を歩んだ。\n" +
                       "どの店も見たことがあるような、確かに以前も存在したような、そのような店並みが曖昧のなか頭をよぎるだけであったが、ただ一店、商店街の終わり近くに、たまに寄ることのあった中華料理屋があったことが頭によみがえってきた\n" +
                       "通りの終端近くまでたどり着くと、確かにその建物・看板はそこにあり、それが年月を経た様相でありはするものの、自分自身の時の流れとのつながりをかんがみると、以前の記憶のままで、まさに、自己のその連鎖の中に現実に存在しているものであったが、営業していないことは明らかであった。\n" +
                       "もしかしたら、連休中のためであったかもしれないが、自分の容姿と同様にその時の流れを素直に含みこんだ情景から、もう終わったものだ、と勝手に判断した。\n" +
                       "毎回、その店では、私が頂いていたのが何であったかはまったく思い出せないが、陽気さをあまり感じさせない穏やかに佇むその店のおばあさんは、もしかしたら、ひ弱とも形容されてしまうかもしれない微笑で、注文を受けたわけではない心遣いのものを、古くなり、また散らかした食事で薄汚れたテーブルの上に置いた。\n\n\n" +
                     　"連休中であり、シャッターの閉じられた店舗が多いなか、活気のあふれた街であるのか、人並みが途切れることはなく、人々が、その商店街を、自分の横を、以前と何も変わることはなく、通り過ぎていっているのであろう。\n\n\n" +
                       "どこかに立ち寄ることはなく商店街を抜け、目的の一つでもある昔の居住アパートに向かった。\n\n" +
                       "そのアパート前へと伸びる細道に入ると、ある一軒家の前で、中年の女性が掃除をしていた。\n" +
                       "そこに住んでいた当時、近隣の人とつき合いはなく、もう十年以上経つ今、誰も私の存在を知っているはずはなかった。\n" +
                       "その細い舗道に入り、視線を横にずらしていた私には、その女性は、頭を垂らしたように写った。\n" +
                     　"ただ、下を見ただけであったかもしれなかったが、私は、ただ、あいまいに何度か頭を下げた。\n\n" +
                       "アパートは残っていた。\n" +
                       "ただそれを確認し、そこから、洗足駅へと向かった。\n\n" +
                       "自分にとって、日々の事務的経路であったこの道に、どんな思い入れがあるのであろうか？\n" +
                       "駅への道すがらに中学校があり、私がその前を過ぎる時間と始業時間が、遅刻の時だけであったのか、毎日であったのか分からないが、とにかく少なくともある一日はその時間が一致していた。\n" +
                       "先生たちが門番のごとく立ちつくし、そこへ向かって生徒たちが走りこむ。その横を一人の生徒が、ただあきれた顔をして、どうでもいいよそんなことは、とゆったりと歩いていた。\n" +
                       "この一場面だけが、今もこの道での思い出である。\n\n\n" +
                       "駅へ向かう路上、住宅地のためであろう、\n" +
                       "人もあまり歩いているわけではなかった。\n" +
                       "その静かな町並みは、以前と何も変わってはいないのであろう。\n\n" +
                       "駅に着くと、そこから、さらに先へと、何の理由があったのか記憶にはないが、今日判断するにまったく生活に関係はなく、また、散歩するにも何かの魅力を感じていたとは思われないが、なぜだか歩んだ記憶がある一筋の道があった。その何度か歩いたことがあるという記憶を事実として、その道に進んでみることとした。\n" +
                       "歩いて２、３分ほどと、明らかに以前も歩んだ範囲内に前進すると、昔は気づかなかったのか、無視していたのか、定かではないが、記憶にはない小さな神社が目の前に現れた。\n\n" +
                       "その境内には何人の姿が見えた。\n\n" +
                   　  "特に由緒なり、大した歴史もなさそうであるこの神社、この場所に、人の集まる理由などありもしないように思え、きっと何か個人的事情があるのであろうと思ったが、ただ、このまま立ち去るのは癪であると、そろりそろりと近づくこととした。\n\n\n" +
                       "社殿へと渡る朱色の橋の上に集った人々は、魚を眺め、その狭い橋の上でその隣を横切ったところで何を言っているかはよく聞こえないが、なぜだか静かに談笑していた。\n" +
                       "それは何か新しい街の風景であるのか、土着のものであるのか。 \n" +
                       "その日が、たまたまの偶然であったのか。\n" +
                       "橋の上で池を眺めていると、杖を突いた老女が橋を渡ろうと境内に近づいてきた。\n" +
                       "狭い橋上で、彼女が橋を渡る邪魔とならないよう、私は入り口の方へと足を戻した。\n" +
                       "橋を離れ、振り返り神社を眺めると、また、一人、中年の男性が境内へと足を踏み入れようとやって来た。\n\n" +
                       "その隣人たちが体を寄せる欄干から離れた境内のはずれには、黄色のバラが数輪、その花を開かせ、つぼみはやんわりと葉を抜けて、その茎を外に伸ばしていた。\n\n"
                     );

  vartextdata.addData( "明日はどこに向かおうか？ ～ 2009.05.04", 
                       "　ここ数年、自分の住む場所で、あるどこかで、まちの共同体について、その人のつながりについて考える場面に、ときどき遭遇する。\n" +
                       "　自分は、居を構える地域のその経済圏に住む人として、それとかかわりは持って生きているわけではあるが、金融市場という意味合いだけではなく、物品売買が行われるこの市場（バザール）におけるマネーフローで、結果論としては、それを担っている一員である、と結論づけられるが、ただそのような字面での哲学感に落ち着くしかないわけであり、何かしらの共同体への発展を含めた活動には、音と交差する言語・視覚という媒体にてあからさまにそのかたちが見えるという形で、能動的に関わっているわけではない。\n\n\n\n" +
                       "　近年、何かの折に、地元の洋菓子屋で買い物をするようになっていた。\n" +
                       "私は町という単語の定義を知りはしないのではあるが、ここでは仮にその単語を目に見える事実でありながらなんとなくがごとく漂う雲のように使わせていただくとすれば、どこの町でも企画される催しであるのだと思うが、この町でも、駅より南北へと伸びる商店街企画で、たまに何かの抽選会なり、神社以外でのお祭りが開催される。\n" +
                       "ある集団の総意として抽選会が開催される決意されるとすれば、その管理下というのか、そのある種の組織に属する商店街の店で買い物をすると、この満たされていない我への未来のためへとこの平穏を乱すためであるのか真ん丸い物体に取り付けられた棒を持って、ころころと回したりする権利券などが配られるわけであった。\n" +
                       "それは、与える人・与えられる可能性のある人の共同作業であり、場合によっては、物品をも後を追って加算されることすらある無限大の彼方へと広がることとなる希望やら、その作業前に、人の中へと発生するやもしれない何か温かいものを人に与えることとなり、しかも、それが与えた側へと紙なりを経由して伝わりお互いに大小の幸せをもたらす試みである。\n" +
                       "その店では、売り場を担当する店の主人の奥さんから、毎回、購入額との引き換え分の５倍以上の価値はあろうかという抽選券が渡され、私の何かが気に入られたのか、何かの魂胆があるのかは、問いただしたことはないが、私はただ笑顔を浮かべて謝辞を述べて受け取っている。\n" +
                       "そして、駅近くに張られたテントの下に置かれたテーブルへとぱらぱらと集う人のなか近づくと、以前に話し合った記憶など私にはまったくないのだが、いつもは店の閉じられた扉の奥で作業しているのであろうその洋菓子屋の主人と思われる男性が明るい声で、幼いころからよくお前のことは知っているよというがごとくに私に声をかけてくる。\n\n\n" +
                       "　数年前、私は、しばらく離れていた実家へと戻ってきた。\n\n" +
                       "　駅は改築され、改札は新たに建造されたビルの中へと設置され、その建物の中には、本屋・レストランなどが入居していた。\n" +
                       "インターネットで駅名称で情報を検索すると、駅の近くにあった本屋は、駅ビル内書店の出店中止を求めて訴訟起こした、ということであるが、その敷地には、今、他の経営者であろうと思われる古本屋の旗は揺らめいていた。\n" +
                       "　商店街のところどころに、葉が今は緑に、やがては紅へと時に鮮やかに色づくであろうと思われるアカシデが、この街の新たなしきたりと認定されたのであろうか、それぞれの店の前に植えられたりと、町並みがこぎれいに装飾されるようになっていた。\n" +
                       "通りには子供のころから一度も聞いたことのない「馬車みち」やら「六地蔵」やら、その道の名称に、古くから伝わるものであるのであろうか、その謂れを軽く添えられた札がかけられていた。\n\n\n" +
                       "　ゴールデンウィーク中の２日間にわたり、以前住んでいた目黒区周辺地域を回った。\n\n" +
                       "この２日間に乗車した池上線・大井町線では、運行形態に変化はなかったが、路線の採算によるものなのか、他の理由があるのかは分からないが、その２つの路線とともに２日間乗車した目黒線はワンマン運転となっていた。\n" + 
                       "以前は目蒲線という名の路線であったが、目黒線とその名を変え、目黒を出発するその列車の終着駅は蒲田から日吉へと変更されていた。\n" +
                       "下車したいくつかの駅は、まるでその姿を変えており、西小山・武蔵小山駅改札を通り出ると、広域の工事現場が広がっていた。\n\n\n" +
                       "　さて明日はどこに向かおうか？\n\n" +
                       "　新しい場所に向かうべきか？\n\n" +
                       "　１日目の今日は、昔住んでいた地域というテーマであったが、実は何の網羅もしてはいなかった。\n\n" +
                       "　計画を策定した。\n\n\n" +
                       "　西小山のとなり駅、武蔵小山には、新居へと移り住み始めてすぐの家具購入時に、それから日常生活では、趣味構築計画のなかで認定された休日散歩で、たびたび訪れていた。\n" +
                       "武蔵小山商店街のアーケードを抜け、少し歩いて先に進むと、戸越銀座へとたどり着く。\n" +
                       "武蔵小山の南に徒歩で商店街を抜けるとすぐにたどり着く場所に位置する戸越銀座には、大学時代入学当初に仲のよかった友達が住んでいたこともあり、その交流のあった一時期よく訪れていた。\n" +
                       "　さて、西小山・洗足へと話を翻せば、そこからは、会社のあった大井町に向かい、目蒲線で洗足駅を出発し、大岡山駅で大井町線へと乗り換えていた。\n" +
                       "生き帰りに、明るく照らされた地下に沈むプラットフォームで立つ自分の姿を思い起こした。\n" +
                       "　どこか行くべきところは他にはあるであろうか？\n" +
                       "大岡山駅からは大井町まで、乗り換えはなく、いつもただ車窓に流れいく町並みがあるだけであった。\n" +
                       "ただ、これでは自分の過去を顧みるだけで完了となる。\n" +
                       "せっかくのこの機会にずいぶんと貧弱な計画であるので、引き続き地図を眺め続けると、大井町の２つ前の駅にある、戸越公園という地名に眼を留めた。\n" +
                       "訪れたことはなく、また、抑揚感を沸きたてさせるようなそこへの悪評も聞いたことがあるわけではないが、こじんまりと大きい公園であるようだし、中途半端に完全な自信がみなぎることはないのは事実であるが、行っておいて損はないであろう。\n" +
                       "　このようなわけで、明日の行動計画は練り上げられた。\n\n\n" +
                       "　武蔵小山駅に着いた。\n\n" +
                       "　頭中へと掲示された計画書によると、武蔵小山商店街を抜けて、戸越銀座へ向かえばよいのだが、「武蔵小山は以上です」と話が流れればよいということであろうか？\n" +
                       "改札をでて、地上へと上がるエスカレータが左、右と設置されていた。" +
                       "計画にある方向としては左へといけばよいのだが、右への可能性を捨てる決断により、ただ過ぎ去ってしまってよいのかと、まわりを見渡すと地図掲示板が立っていた。\n" +
                       "地図に近づくと「林試の森公園」という単語が目に入った。\n" +
                       "西小山に住んでいた当時、武蔵小山に住む同僚と、この単語が会話の中で交わされたような思い出がおぼろげによみがえってきた。" +
                       "それは、彼がこの公園に通ったという話であるのか、なぜだかこの単語が発語され、その際に自分も行ったと言ったのか、行こうと宣言しておいて、結局、行かなかったのか、実は言うと行っていたということであるのか、さっぱりと思い出せなかった。" +
                       "ただ、この単語が悪くはないものとして自分には認知されているようであった。" +
                       "地図で駅からの距離を見ると、駅からは少々離れているようであり、もしかしたら、ほんとうにすばらしいところであるのかもしれないが、今回の主題とは外れてしまい、また、そこに行ったことがあると人に告げるための無菜な記録を残すための往復としては不相当な時間を費やすこととなり無駄である、と判断したが、エスカレータを上がった眺めは見ておくべきと、林試の森公園へ向かう側のエスカレータへと進んだ。\n" +
                       "西小山駅で降り立ち見えた光景と同様に、駅前広場の整備事業による工事現場が広がっていた。" +
                       "それでは予定どおり進もうかと、南へと足を転じた。\n\n" +
                       "　パルムという名の大きな商店街が始まる周縁地には、スナックが軒を連ね、扉の閉まるその合間を、商店街のメインストリートへと軽く輪を描くようにすり抜けていくこととした。" +
                       "もともとここでの夜の活気は知らないが、この昼間の風景は前のままだと思いつつ、その輪の終縁へと歩を進めた。\n\n" +
                       "　パルム商店街は日本一である。\n\n" +
                       "　それは、規模の大きさを言っていたのであろうと思うが、本当のところは何が日本一であったと友人が口にしたのかは、はっきりとは覚えてはいない。" +
                       "この規模の商店街であれば、いくらでもありそうな気はしたが、戸越銀座に住む大学時代のその友人が、銀座と名づけられた彼の住む町の商店街のとなりに、日本一の商店街がある、とそこに移り住み始めたばかりの人間である彼が、生活に不便していたのか他に何か理由があるのかよくは分からないが、その武蔵小山にある商店街をうらやむ発言をしていたのを覚えており、私が西小山に住んでいた当時、何度かその記憶を思い出すがごとくに、パルム商店街と戸越銀座を行き来した。\n" +
                       "　そして、今、そのパルム商店街アーケードを進むと、人類の発展とその表出という単語と対比して、整備について何をもってよくと評するのかは微妙ではあるが、何はともあれ、よく整備されている様相ではあり、以前と変わらずに、アーケード街には、新しくもなく、古くもない店店が並び、老若男女が闊歩していた。" +
                       "この光景は間違いなく一つの東京の街のものであり、人は東京に住む私と同じような洋装を、いや、むしろ小ぎれいな姿であったが、なぜだか、現世のシンボルと必ずしも形容されるわけではないように思えた。" +
                       "人はいなくともにぎやかに映える携帯電話の店は、あのころにはなかったかも知れないと思い、閉店セールで、店中に「閉店」、「閉店」と書かれた紙を垂れ下げた店が、以前もこの目で見たあの店、と指示代名詞で我が身へと啓示されたのであるかごとくに写った。\n" +
                       "このあいまいな疑問へと結論に至る時点で記憶にないわけであるが、ただ、ほぼ以前と同じ店構えが並んでいるがごとく写った。\n" +
                       "天井から、数箇所で大きな竜が垂れ下がっており、ここはいい場所であるんだろうという念を抱いた。\n" +
                       "そこに住んでいたわけではなく、頻繁に通っていたわけではないため、それは、ただの自分のなかに創りあげられていた思い入れの一端から生じたものを示したものに過ぎないのかもしれない。\n\n" +
                       "　憧れのパルム商店街のアーケードが終わり、中原街道へとでた。\n" +
                       "どちらにどのように進んでよいのか、まるで覚えていなかったが、とにかく横断歩道を渡り、大きな道を進むことにした。" +
                       "１分ほどであろうか、前に進むと、「ちょっと一息」と書かれた椅子が街路緑地にはさまれるように鎮座していた。\n" +
                       "私の最寄の駅から家への帰路でも、坂を上がりきったところにある有料駐車場の入り口の横に、このような椅子がちょこんと置かれており、そこによっこらと座りかける老女をたまに見かける。\n" +
                       "私の幼少のころからの思い出を辿ると、それがどのような起因であるかは知らないが、車椅子に乗る若者、杖を持つ老人が外出をする人を目にすることが非常に多くなったように感じる。\n" +
                       "自分が通った小学校では、知的障害学級が併設され、普段の授業を一緒に受けることはなかったが、運動会など何かイベントがあると、みんな彼らをどこか見下しながら、一緒に行動をともにする機会があり、何かが違うと分かりやすいものと接する機会があった。\n" +
                       "どこでもそのような環境にどれだけの割合があるのか私はよく知らないが、ただ、瞳孔の働きに変化が生じたのか、外界からの光量が変わったのか。" +
                       "病院の精密検査は行っていないが、ともかくも、それらや何かしらと連動して自らに描き出されているその結論には、違いがあるようであった。\n\n" +
                       "　さて、と私も座りかけ、携帯電話で地図を眺めると、このまま大通を進むと、戸越銀座からはどんどんと離れていってしまうようであった。\n" +
                       "そこで、その椅子を離れ、中原街道へと戻った。" +
                       "街道をしばらく進むと、今この瞬間の私と同じような境遇であるのだろうか、首をあちらこちらへと振り何かを探すような一見若く見える中年女性と何度かすれ違っていると、おそらく入ったことがあるであろう古本屋の前へとたどり着いた。\n" +
                       "そこを右に折れると、「戸越銀座通り」、と地味と言っていいのか、その大きさからすると、派手と形容すべきなのか、どちらか判断はできなかったが、ともかく、目立つようにと設置されたその通りの名前の書かれた看板に突き当たった。\n" +
                       "　その看板に向かい商店街に入ると、狭いわけではなく、緩やかに広いその通りは、連休であるのか、その通りのはずれであるためであろうか、閑散としていた。" +
                       "前方へと進んでいくと、ここは通ったことがあるのか、そうでないのかは、写実的な感覚としてはよみがえってはこなかったが、いずれにしても、ここを通り、本屋なりには入店した、という言語に頼る記憶が蘇ってきた。\n" +
                       "　駅に近づき、踏切を越えたところに、戸越銀座商店街の看板が見えた。\n" +
                       "前に見える景色からは、ここまで歩んできた道よりも、ずっと栄えており、おそらく、そこに踏み入れたことがあるようには思われ、総合すると友達がなぜそれに失望していたのか不思議に思われる規模の商店街と言ってよかった。\n" +
                       "銀座というどこにでもあるその名は、それがブランドにたかったものであるのか、実際に金にかなわないもののそれに匹敵する物品の生まれる地であるということであるのか、由来はまったく知りはしないのであるが、武蔵小山にある彼が得たどこからの情報か何かより「日本一」と呼ぶそのパルム商店街を挙げて、ただ、自分の住む土地につけられた銀座という名に失望か何かしていた。\n" +
                       "その友達のアパートはこの商店街とは反対側にある住宅地にあったという記憶を頭で確認するのみで、それ以上先へと進むことは止め、戸越銀座駅へのホームへと進んだ。\n\n" +
                       "　西小山・武蔵小山駅は大きく改装され、その駅前も広場が構築されようとしており、大きな変動を見せていたが、戸越銀座駅では、もちろん、改札には自動改札器が設置されてはいるものの、それぞれのホームで、それぞれの改札は、もともとあった場所に設置されているように見え、改札からプラットフォームへはさほどの大きな段差はなく、数段で登ればよいものであったが、階段の横には、その幅とほぼ同様であるスロープが設置されるという変化があったが、 少しばかり遠慮して手を加えていっているように映る光景であった。\n\n" +
                       "　さてと、ベンチに腰をかけ、これからどうしようか、と考える。\n" +
                       "目の前は以前はなかったであろう、鉄製の囲いができていたものの、列車のドアは常に開放されていた。" +
                       "目黒から武蔵小山へと向かう目黒線では、今思えば、ワンマン運転となったのであろうか、プラットフォーム側には列車のドア前にまた別のドアが設置されていた。" +
                       "その変わり果てた光景・乗降システムがゆえに、通勤で乗換電車を待った大岡山への向かう意義は薄れたかと思っていたが、今も、ここでは、前に飛び込む許可が下りているようであり、思い出を辿る目的でもあるこの散策に、少しの安心を覚えた。\n" +
                       "　地下にあったその乗換駅への慕情に十分に浸る暇もなく、どこららか、朝光の下を走り、そして橋上にあるプラットフォームへと階段を駆け上がる姿が頭の中へと、ふと、蘇ってきた。\n\n" +
                       "　これは、どこであろうか？\n\n" +
                       "　大井町線の駅であり、洗足駅への電車に間に合わないときに、駆けつけた場所があったのではなかろうか？\n" +
                       "唐突に私のなかへと展開された光景は、確かに事実としてあったとおぼろげな自信がみなぎってきた。\n" +
                       "まずは、大井町線へと足を運べば、その駅名を、それが事実であるということを思い出すことであろうと。" +
                       "そして、その駅で降り、洗足駅へと歩いて向かおうではないか。" +
                       "それから元の目蒲線に乗り、大岡山へ。そして、乗り換えて大井町へと。\n" +
                       "　眼前には、明確ではないただ情景があり、あまり変わってはいない、と勝手に判断させ、 どこの住宅街でもそうであるように、他人には何かがあるわけでもなく、ただ退屈とも評すこともできる風景が眼前には広がっていた。" +
                       "閑散としたプラットフォームには、たまに人が通り過ぎ、ある初老の女性はベンチに座り、ある若者はドアの開く地点のほど近くに立っていた。" +
                       "カンカンと踏み切りより緩やかな音が鳴り響くのが聞こえてくると腰を上げ、鉄柵へと近づいた。\n\n" +
                       "　次の駅、旗の台で降りた。\n\n" +
                       "　まずは、トイレに行き、以前がどうであったかは知らないか、まったく覚えてはいないが、きれいになって便利なことよ、と評価を下しつつ用を足すと、以前はなかったであろうエスカレータで大岡山方面へと向かうフォームへと上がった。\n" +
                       "駅名標を見ると、どこにでもあるように、自分が今いる立場を把握できるようにするための親切心からか、今自分の立つ駅、「旗の台」と大きくと記述されており、次の駅として小さく「北千束」と表記されていた。" +
                       "通勤時に、たしかに、その駅「北千束」で大井町線に乗車していた。\n\n" +
                       "　思い描いた絵と同じく陸橋の上に位置する北千束駅で降りると、自らが走った駅のガード下にある道を眺めて確認してやろうと、フォームの端まで歩き、洗足駅と判断する方向に体を傾け、そちらを眺めた。\n" +
                       "朝にその橋下から先へと延びる路上を走ったことは間違いない、と思われた。\n" +
                       "住宅街の真っ只中に浮かぶこの駅には、それ以外の何の思いでもなく、おそらくは今も昔と変わらずに、当時、西小山で私の心を揺るがせた夜の商店の艶やかな光が、その薄もやに混ざる快声が、昼間である今はもちろん、日の落ちた時間となろうが、その道に連なることもないであろうが、自分が歩んだことのある道である。" +
                       "自己満足を満たすのを助けてはくれるぐらいの場所であるようであった。" +
                       "そこから、洗足駅に向かって歩けば、全ては丸く収まるわけであり、昔、その改札へ駆け寄り、できればその勢いを保ちたいという思いで駆け上がった階段を下ることには何の意味も持たないわけであった。\n" +
                       "洗足駅を眺めるのに最適な場所近くに設置された、その当時にはなかったエレベータの扉の前に立ちボタンを押した。\n" +
                       "エレベータが上がってくるのを待っている間、洗足駅と逆方向に伸びるガード下の道を眺めると、連休中のためかシャッターは閉じているが、その方向にもにぎやかな商店街が広がるわけではなかったが、住宅街のなかポツリと一軒の店の姿が映っていた。\n\n" +
                       "　改札を出ると、その店の前へと歩を進めた。\n" +
                       "どうやら、そこにはその一軒だけでなく、道路の左側に何軒かの店があるようで、駅から見えた一番手前の店から２軒先であろうか家であろうか店舗であろうか、作業か何かは知らないが数人が繰り返し出入りしていた。\n" +
                       "人通りのないその道で、その手前の店の前で意味もなくたたずみ、その店を眺める姿をその人たちにさらすのはなぜだか申し訳ないような、恥ずかしいような心持ちであり、その店から駅の方へと体をひるがえし、そこに立つ地図のたて看板を眺め、他人が私を見るとすれば、さぞ何か理由があり、ここへの降り立ったと判断されるようなふりをすることにした。\n" +
                       "　その地図を見ると、洗足駅へとつながるその道を、その目的地ではなく、それとは逆方向に位置するその店の建つ方へと向かうと、「洗足池」へと向かうようであった。\n" +
                       "　洗足池が由緒ある場所であるのかどうかは知らないが、全社員向けへとアンケートを配り、その存在の有無を問いかけるとした場合、回答率がどうなるのかという純粋な疑問は無視するとして、その回答として誰もが知っているという結果にはならないはずであると思われたが、名前ぐらいは知っているという回答が大多数であろう。" +
                        "何か少し気の利いた新たな発見ではなく、自分が洗足という名の場所に住んでいたためそう思っているだけなのかどうかは知らないが、ともかく名前の知れていると思われる場所であった。\n\n" +
                        "　「洗足」から「北千束」へ走り、その向こうには「洗足池」があった。\n\n" +
                        "　洗足の南に位置する北千束の、その地名の発音が全く同じ「せんぞく」であることに、この駅前の地図を眺めた今やっと気付いた自分が、どんなに何も見ても、感じてもいないかを思い知るだけであった。\n\n" +
                        "　何はさておき、とりあえずは何の思い出もない、この地より、洗足池へ向かってみることにした。\n" +
                        "駅を出て右手には学校があり、先へ進むと、左手にときどき店が現れた。" +
                        "平日であれば、もしかしたら活気に満ち溢れた通りであるのかもしれないが、今は、どの店もシャッターを下ろしており、営業を終えた残り香のようにたたずんでいた。\n" +
                        "風が緩やかに吹き始めた。" +
                        "道端に置かれ、庭に植えられた木々が、ゆっくりとその首を振らしていた。\n\n" +
                        "　しばらく緩やかに下る道を進むと、まだこの目へとその池の姿が披露されることはなかったが、洗足池であろう外界とは物理的に区切られたある公園敷地内へと踏み入れた。\n" +
                        "目の前には野球のグラウンドの金網が見え、木々に隠れてその状況がはっきりとはうかがえなく、元気よい子供たちの声が適度な音量で静かな空間の音響となり、ある人はベンチに座り本を読み、ある人はその上に横になり、ある人はハーモニカを吹いていた。\n" +
                        "そこは池からは小高い岡に登った位置にあり、その高台の池側に置かれたベンチに近づくと、グラウンドと同様に、はっきりとは池の姿は見えないようで、その静かではあるが、遠くより少年の声が、下の池での人の集い・ざわめきの空気の膨らみが感じられるこの場所が、この洗足池という場所を満喫するのに最適な場所であるのかは判断しかねたが、何かしらの理由で人がそこで佇む理由があっても、さほど、疑問は生じないであるように思われた。\n" +
                        "その場所から下へ向かって降りると、この休みをただ無駄に過ごさないための場所としては、合格点を与えられるということであろうか。" +
                        "広いわけではないが、散歩をするぐらいの余裕はそこそこ与えてくれるであろう敷地が広がり、家族が、友達が談笑し、また、その池の周りを歩き、そして、ボートを漕ぎ、数艘に分かれた親子が、声を掛け合っていた。\n" +
                        "橋を渡り中央に位置すると思われる神社に踏み入れ、そこから池を見渡し、その場がどのような公園かをとりあえずは見た、と判断すると、もと来た方向へと、静かにぱらぱらと人の集う岡の上のベンチへと上がっていった。\n\n" +
                        "　北千束駅から、洗足駅へと歩き、そこから電車に乗り大岡山を経由して、大井町へと向かうことで思い出の巡旅は目的を果たすこととなる。\n" +
                        "それでは情けないと思ったのか、もったいないと思ったのかどうかは研究のテーマとなるのであろうが、何はともかく計画では、戸越公園へと向かうこととなっていた。\n" +
                        "その当時の目蒲線と大井町線の交わる大岡山駅は、当時から地下駅であり、新たに建設されたばかりであったためか、その地下の光景に大きな変化はないと察せられた。" +
                        "しかし、会社への生きかえりで電車を待つ最中、その壁に貼られた広告をにらめつけていたのか、線路を眺めていたのかは覚えていないが、目黒線側では他の駅と同じように転落防止柵が設置されていたが、大井町線側では、池上線と同じく以前のように自由に列車へと乗り込むことができるようである、という光景の変化は理解できた。\n\n" +
                        "　列車に乗り、北千束を過ぎた。\n" +
                        "戸越公園まではあと何駅であろうかと、車内に掲示された路線図を眺め確認し、そこから目を下へとずらすと、ドアに描かれた文字が眼に留まった。\n\n" +
                        "　「このドアは戸越公園では開きません。ご注意下さい。　東急電鉄」\n\n" +
                        "　ドアが開くのは何両目であろうかと、対向する電車が通過するのを待ち、その注意書きが書かれているであろう色彩を数えた。" +
                        "はっきりはよく分からないが、後ろの方へと少なくとも１両、もしかしたら２両以上移動する必要があるようであった。\n\n" +
                        "　「これは、戸越公園には行く必要がない、ということであろうか？　いや、こんなことで行くのをあきらめた、というのは何とも情けないのではないか？」 \n\n" +
                        "　「大井町の一つ手前である、下神明駅で降りてみようか」\n\n" +
                        "　もしかしたら、まったくの予想外の展開として、戸越銀座で北千束のことを思い出したように、記憶はまったくないわけであったが、意外にも会社へと近いことから、その駅からの道を利用したことがあるという事実が判明されてもおかしくはないであろう。\n" +
                        "携帯電話で地図を眺めると、そこから徒歩で戸越公園へと向かうことができそうな距離である。" +
                        "もちろん、戸越公園まで行けば、戸越公園駅へは近いであろう。" +
                        "車外から、「このドアは戸越公園では開きません」、という光景を見てやろうではないか。\n\n" +
                        "　下神明駅で、改札へと階段を下り改札を出ると、初めて見たのであろうチェーン店であると思われる小奇麗なクリーニング屋が居を構えていたが、少し進んだ前には東海道線が、そのはるか上方には、その線を少し斜めに平行して新幹線が、また、新幹線と東海道線の間には大井町線が横切っている無機質な光景の下、その線路があるがゆえか、古来から引き継がれた道筋であるのか、何が由縁かはわからないが、その複雑に絡み合った電灯が照らす道々を、終電後の帰宅の帰路、迷い迷い歩を進めたことを思い出した。\n" +
                        "すでに日の傾き始めた時間ではあるが、おそらくは、陽光の下この地区を歩いたのは、初めてであると思われたが、当時とあまり変わらないと、自己欺瞞を吐きながら、以前はなかったであろうベンチに腰をかけて地図を眺め、ある程度進むべき方向、道を定めて、先へと進むために通り抜けたはずのトンネルを逆に戻り、通り過ぎるとすぐに角を曲がった。\n" +
                        "　新しい住居、古くからの建物、そびえたつコンクリートの固まりを混じる街頭のなか、 緑のこんもりとした岡に延びる公園道が目の前に現れた。" +
                        "先の様子がうかがえないが、どうやらこじんまりとした公園のようである。" +
                        "大きければよい、というわけではないはずではあるが、想像だにしない最後に待ち構えていた朗らかでありながらも何か熱く感じるものがありさえするイベントを待ち構えていて期待はずれであったのか、 ここへとたどり着いたという両手を大きく掲げての歓喜のなかその敷地内に足を踏み入れる、ということにはならなかった。\n" +
                        "どこであってもどのように飾り立てるかの違いによるだけのことではあるが、その公園は、人により構築され、ほどよく整備された緑地であることが露骨であった。\n" +
                        "いわゆる日本庭園であるのであろう。\n" +
                        "ゆるやかな傾斜の道を進むと目の前に、そこそこの大きさの公園の定番である池があった。" +
                        "池の手前の広場に新しいのかよく整備されているのか、座るのに何の抵抗心の起きようのない清潔なベンチが多数設置されていた。" +
                        "園内では雑踏はなく、それぞれのベンチは空白ないものの、ほんの少しの勇気をだしさえすれば座ることのできるような間隔で、人々が静かに腰かけていた。" +
                        "広場を横切るとその先からは子供たちの声が聞こえてきた。" +
                        "池の中央へとは踏み入って遊ばないように区切られてはいたものの、その許された池の端にある水域へと網を携えた小学生低学年ほどの男女の子供たちが、遊ぶためにと造形されたのであろう滝の方角より駆け寄ってきた。\n\n" +
                        "　公園を出て、商店街を通り、駅に着いた。\n" +
                        "この駅へと着た一つの理由、目的を実現するため、大岡山側にある踏み切りをわたり、そこから大井町方面にある踏み切りへと向かった。\n" +
                        "踏み切りの前に立ち、列車を待った。\n" +
                        "今か今かと待ち構え、とうとう、警報機が鳴り響き遮断棒が閉じると、手前の線路に下神明より大岡山方面へ向かう電車が駆け寄ってきた。\n" +
                        "最後部の車両が踏切内に残りそのカンカンと鳴る遮断機の横に並ぶホームでは、列車のドアが開き、人々が乗降した。\n" +
                        "　自分がここに来た意味をこの光景を記念として残さなければ、遮断棒とその後ろに位置する車両を写真に撮影した。" +
                        "シャッターを切るや否や、視覚に頼るこの瞬間の記録の残存の危うさを、 誰にも伝わりもしないただの自己満足による結末を、さすがに悟りはしたものの、気付いたときには、すでに時は過ぎ去り、乗り遅れまいと走り飛び込む乗客も現れず、 「このドアは戸越公園では開きません。ご注意下さい。」と人に説得できなくなってしまった。\n" +
                        "今、考えれば、踏切を渡り、大井町へ向かう電車を待ち、そして、遮断機の閉じた前に佇むドアの開いた列車を撮影する、という当たり前の手段をとることが可能であり、それにさほどの多くの時間を待つことに費やすとは思えなかったが、その手法には思い及ばず、人が勢いよく行きかっていないためか、逆にこの広くはない車道で、不意に現れるかもしれない通行人に怯えながら、ただ、カメラを持って次の電車を待つことへの羞恥心からそこを離れた。\n" +
                        "　このくだらない自己への満悦の体に浸ることへのこだわりをたやすく捨てる情けなさを悔しく思いつつも、もうこれで目的は達した、と戸越公園の改札へと向かった。\n\n" +
                        "　自分の通った会社のあった大井町に着いた。\n\n" +
                        "　プラットホームは変化をみせたのかどうかは分からなかった。" +
                        "少しの物理的な構造の変化があるように思われたが、おおよそのかたちは以前のままであると思われた。" +
                        "帰るときがよっぽどうれしかったのか、よっぽど悲しかったのか、帰宅するときに電車へと改札を通る自分の姿だけが想起される改札であったであろうその場所を通り抜けて外へとでた。" +
                        "目の前には新しいビル郡が見え、連休中にも関わらず、都心への交通要所であるのかひっきりなしに人々が右へ左へと行きかっていた。\n\n"
                     );


  vartextdata.addData( "日暮里 ～ 2009.05.09", 
                       "　今日、一年前ぶりにKazさんと会った。\n\n" +
                       "　彼女と知り合ったのは、数年前に入院していたときであった。\n" +
                       "東京出身でコンピュータ関連の仕事をしていたことがあるという彼女は、伊豆にあるこの病院へノートパソコンを持ち込んでいた私を見て、同士と思ったのかはさだかではないが、食堂で私に声をかけてきたのがきっかけであった。\n" +
                       "退院後には、今は東京で治療・自己リハビリを行う彼女と、一年に一度ぐらいのペースで会っていた。\n\n" +
                       "　一年前、どこで会おうかとの算段で池袋を提案した私に対し、Kazさんには、日暮里にお勧めのホテルのレストランがある、と私に提案してきた。\n" +
                       "集まる場所にこれといったこだわりがないため、座るところが溢れているであろう池袋の名を挙げた私には、それを拒否する理由はなく、「だいじょうぶ」と言う彼女に何が起こったのかと、念のため自分の財布に収められた紙幣の数を確認し、おどおどとしながらその地へと向かった。\n\n" +
                       "　私は東京生まれであり、その駅名だけが忘れることなく十分に叩き込まれていたものの、おそらくは初めての山手線日暮里駅での下車であった。\n" +
                       "改札を出て、エレベータで地上へと降りると、杖を持ったKazさんが待っており、駅から程近い場所に位置するそのだいじょうぶというホテルへと向かった。\n" +
                       "席に着き、メニューを開くと、ランチセットは、そこで長時間のんびりと時間を過ごすことを計画するのであれば、確かに手ごろな値段であり、今の時間を有意義に、そして将来のためと、彼女が友達と英語の勉強をするときなどにそこを使用しているというのは、うなずけるものであった。\n" +
                       "我々は夕方近くまでそこに座り込み、帰りに駅へと歩く道すがら宙に横たわる舎人ライナーを眺め、初めての地でありながら、ここにも新しいものがあり変わりつつあるんだ、と勝手な感慨に浸るだけで日暮里を離れた。\n\n" +
                       "　さて、今回も、前回と同様にあの日暮里にあるKazさん一押しの手ごろな価格でランチを食べられる場所に集うこととなった。\n" +
                       "今日は、この場で終わるのではなく、杖を携えた２人の訓練がてら少しこのあたりを見てみようかと、食事が終わると、長居はせずにレストランを離れた。\n" +
                       "レストランでKazさんの口にしたおそらくはこの近くにあるという谷中という候補地は、その声音の響きは知ってはいるものの、自分にとってはそれ以上のものではなかった。\n" +
                       "どこにある地名も昔へとつながる由緒を持つ名前であることがほとんどであると思われるが、トウキョーに生まれてから浴び続けてきた情報の洗脳であろうか、なぜだかその地名は、古くからの魅力的な地であるように感じられた。\n" +
                       "　そこで、このあたりにあるであろうが、どこにあるかは定かではない谷中を求めて、フロント近くにある観光案内所にある地図やらをあさることとした。\n" +
                       "なぜかそこには有名でなければ自分の感触に説明のつかないこととなる谷中を示す資料はなく、にっぽり繊維街やら舎人ライナー沿線まちあるきマップやら、何も知らない僕に見所を親切に教えてくれどのようにしたら楽しむことができるかを計画できる素材が準備されていたわけであり、とりあえずはそれを拒絶する気概はなく、それらの地図を手にし、かばんの中へと仕舞いこんだ。\n" +
                       "目的地は定まらずにいたが、日暮里駅前周辺を歩けば、何か方向性が見えるであろうと、ホテルをあとにした。\n\n" +
                       "　日暮里駅まで戻り、改札前などによく突き立っている四方形平面の地図を見ると、どうやら谷中という住所が駅からこのまま前方へと進んだ方向にあるようであった。\n" +
                       "また、駅からすぐ近くには、谷中霊園という地名が記述されていた。\n" +
                       "Kazさんによると、何が目的かは知らないが、そこが観光目的で人が集まるところであるそうであるが、それは後でと、谷中銀座と書かれている方向へと進むよう帆の向きを促した。\n\n" +
                       "　銀座と呼ばれるところはその中心である、と察することのできるが、それは、どこかこの時代での粋というものを外れ、その古風な粋が娑羅双樹の花の色を感じさせるのであろうか何か愛着を呼び起こさせる響きである。\n" +
                       "　ともかくも、その場所に向かって歩き始めると、目の前には人力車が、右手には寺院が立ち並び、その前の歩道を外行きのかばんを携えた観光客が行き交っていた。\n" +
                       "日暮里がこんなにも人を呼び寄せる力を持った土地であるということは知らなかった僕は、ある種のちょっとした唖然とともにその銀座へと向かった。\n\n" +
                       "寺院の並ぶとおりを抜け、銀座への最後の関門となる階段を、われわれ２人は手すりをつかみ降り立ち、「ひぐらしの里 谷中銀座」と書かれた看板の下をくぐると、映画の一場面のような古い店並みが、階段の振り返ると杖を持ったすれちがった老婆の談笑する姿が、どのようなノスタルジアに浸っているのかは知らないが、大学生ぐらいの年代であろう若者が行き交っていた。\n" +
                       "写真撮影禁止と紙が下げられたある店には行列ができ、休日のためであるのかは分からないが、ともかくも通りは活気に満ち溢れていた。\n\n" +
                       "　とりあえずは、と道の奥へと前に進み、立ち並ぶ店構えのこの通りの露出部は一通りは舐めたであろうと判断できる場所で、道を左へと折れた。\n" +
                       "すると、路上に漂う空気の勢いが失せて、ただ緩やかに流れるようになり、ひぐらしへと入門してからの領域では隠れていたのか、ただ気付かなかったのかは分からないが、この銀座の店で働いているであろうか、この場に生きるであろう人がぱらぱらと姿を現すようになった。\n" +
                       "　しばらく前へと歩くと、私道と書かれた張り紙が貼り付けられた白い壁が目の前の突き当たりに見え、その壁の手前には緑のトタン板が立っていた。\n" +
                       "どうしようかと迷う我々は、２人ばかり通り過ぎたの眺めた後に、続けて後ろから通り行こうとする人に尋ねると、前には進めるといい、実際に彼らは前へと進んで行った。\n" +
                       "我々も彼らに従い前へと進み、行き止まりに見えたトタン板の前にある道を左へと進んだ。\n" +
                       "しばらく先へと進み、潮干狩りバスハイクの案内の張られた掲示板を通り過ぎると、目の前には小さな公園が見えた。\n" +
                       "歩き疲れた我々はその公園の花壇の縁へと座りかけた。\n" +
                       "すると、そこで何をしていたのか知らないが、待ってましたといわんばかりに、初老の男性が我々にそろりと寄ってきた。\n\n" +
                       "　普段はボランティアで谷中の観光ガイドをしていると名乗るこの男は、まだ我々が谷中霊園に行っていないことをすぐさま嗅ぎつけると、谷中霊園にあるという徳川慶喜墓地への案内することを即断した。\n" +
                       "この段階で、もうすでに話は聞くのを放棄していた私は、全く何も聞かないのも失礼かと話のテーマとその結論を追うだけであった。\n" +
                       "このようなわけで、よくは覚えていないのであるが、同氏は、篤姫について語ると、まだここに座ったばかりの我々に、さてと出発するかと急き立てたかと思うと、すぐに、あなた方は、今、ここで休み始めたばかりだからそれは違うだろうと、今、我々がいる場所が岡倉天心記念公園である説明から、天心と谷中の講話が始まった。\n" +
                       "　いい人を装い、最後にはドラマで誰もが予測するあっと驚くどんでん返しで、我々から金をふんだくってやろうという魂胆であるかもしれず、それはただ最後に戦えばいいだけのことだが、そんなことに力を使いたいわけではなく、また、この谷中の舞台はここでの散歩がぶち壊しになりそうな装いとなり、少々の落胆を覚えたわけではあるが、そこで、その熱く語る男性へ別れを告げる気概もなかった。\n" +
                       "楽しんでいるのか本心は分からないが、谷中への愛情なのであろうかその豊富な知識へ感心したがごとく対応を続けるKazさんは、もちろんと言うべきか断る気配も見せないため、私はただ目を避けることはせずに、適当なタイミングでうなずいて、この流れに沿っていくようであった。\n" +
                       "彼からの理解を求めるためであろうか、ここから彼の執着地とそこから駅へを所要時間を確認すると、それであれば、我々でも行けないことはないと、何か少しばかり勢いを込めた吐息に混じりその言葉を吐き出すと、この旅行団は出発した。\n\n" +
                       "ここでの具体的な目的はなかったわけではあるが、道を知る彼に辿り墓地へと向かうことに何か釈然としないものを感じつつも、それはともかくどこで勉強したのか、趣味であるのかは知らないが、養われた知識の集大成であろうか、義務的に再生する学習用英語テープのごとく音がとめどもなく反復していた。\n" +
                       "私はよく聞いていないし実は分かっていないわけであるが、一応、たまには理解するという行為へとたどり着いており、その彼の誘引は彼の優しさからか趣味からかは知らないが、我々へのその披露に、Kazさんの様子を伺いながら、公園のときと変わらず私はうなずくことしか知らなかった。\n\n" +
                       "　そのうちに霊園へとたどり着き、ここは鳩山一郎だ、ここは横山大観だと、目の前に設置された墓石にまつわる講釈が流れる中、先へと進むと、いくつか鳥居のある墓地を通り過ぎた。\n" +
                       "そこは神道形式の墓であるという解説であり、そのため戒名はなく、墓石には本名が彫られていた。\n" +
                       "残されたもののために遂行されるのであろう死後への営みの中で、誰の意思かはともかく、ともかくもその名が後世へと残る仕組みが構築されているようであった。\n" +
                       "いわゆる日本での宗教形態として、死後の処理は仏教である、というのが私の頭に刻み込まれていたが、教科書で学んだ天皇陵墓を見ても、仏式であるようには思えず、死後の形態の多様性がどれだけあり、実際にそれがどのように現れているのかが眼前に広がる様は、考えれば不思議でさえあった。\n\n" +
                       "　さて、慶喜陵にたどり着くと、彼と同じく観光案内ボランティアをしている男性が、観光客の前に立ち、職務を果たしていた。\n" +
                       "具体的に語る話題が何であるかは定かではないが、生き物のことを語れば切りのないことであるのは容易に想像できるが、もちろん、この陵墓説明であったのであろう。\n" +
                       "その男は、歴史好きでたくさんの本読み、その知識を埋もらせてはもったいない、とこのボランティアを始めたそうである。\n\n" +
                       "　もうこれで後は駅に戻るだけである。\n" +
                       "喋り続ける我々の指導者には、ただ、暗くなる時間だからとお別れを告げればよいだけであったが、今日、我々に交わされた単語数を換算するのであれば、その時間に対するその密度はとても引き締まったものとなると思われたが、実質的には彼とは何の会話も交わしていない自分に気付き、彼の前歴を尋ねた。\n\n" +
                       "　テレビ番組制作のディレクターであった。\n" +
                       "彼は、そこで自分がかかわった番組での感慨を語り、印象に残るドキュメンタリーを尋ねると、それだけを描いた話しであるのかどうかは知らないが、汗をかきもくもくと釜へと石炭をくべ続ける機関助士の仕事を追った話しを、まさに彼がその機関助士作業を実際に行ったがごとく口を今までと変わらず鈍いながらも思い切りすばやく、手をずしりと、上下へと動かした。" +
                       "また、東京オリンピック後の君原健二の落日から復活を追ったストーリーを記録に残し、それを見た本人が涙した話を眼をギラリと私に向けながら語った。\n" +
                       "そして、その同じ場所で働いていた一人が、著名人として働いていることが、一つの自分の誇りであるようであった。\n" +
                       "その仕事を定年までまっとうしたというわけではないようであったので、その後の人生を尋ねると、\n" +
                       "　「ただの会社に勤めた、年金とか社会保障のことがあるからね。具体的な仕事は言いたいとは思わない、ただの会社だ」\n" +
                       "と口をつぐんだ。\n\n" +
                       "　彼らと別れ、我々は駅へと向かった。\n\n" +
                       "　十数年前、新入社員の時にあこがれた年金生活のこの立場を。人に、国に頼って生きるこの自分のこの屈辱を。このお金を使うべき場所は、世の中に満ち溢れている。自分へではなくて。入院時には、この権利を放棄する自分の姿に酔いしれた。\n" +
                       "そして、会社勤めを始め、この権利を剥奪される機会が訪れることを、コンピュータディスプレイに映し出される銀行口座の残金の推移を眺めては、日に日に怯えていた。\n\n" +
                       "　行き止まりとなっても、駅に向う方向への道へ道へと進んでいけばよい、という道先案内人の言葉に従い、我々は駅に向かい、先へと進んだ。\n" +
                       "前へと進むべく墓石の間を抜けていくと、結局はぐるりともといた方向へと体は向いていた。" +
                       "時間を浪費するよりはと、どうにも前方へと進む抜け道は見つけ難いと、すぐに、我々は判断し、少しばかり距離は遠くなるであろうが、そばにあった出口の一つよりこの霊園を抜けて、多くの人を運ぶ山手線の走る線路沿いに敷設されているコンクリート道へと向かうことにした。\n\n"
                     );


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